- Column -

フルート・コミュニケーション[5]

ソロイスツの演奏会で配布するミニ新聞に掲載された気ままなコラムです

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Vol.25:ブリッチャルディが怖くてB(シ♭)が出せるか!

Vol.26:たまには音楽と関係ない話も・・・

Vol.27:音楽家なのか、印刷屋なのか・・・

Vol.28:祝!クラリネット初登場

Vol.29:音楽を創るということ

Vol.30:アレンジの楽しみ


フルート・コミュニケーションVol.25-1998.7/24(Fri.)

(クライス・フルート・ソロイス Vol.25)

−ブリッチャルディが怖くてB(シ♭)が出せるか!−

 ↑これ、クライス・ホームページの掲示板に投稿されたフレーズ。遠く岐阜から本日の演奏会にエールを送って下さいました。ありがとう。本日のプログラムは、現在の「ベーム式フルート」で知られるテオバルト・ベームと、そのフルートを改良したジュリオ・ブリッチャルディの特集。ブリッチャルディの考案した「ブリッチャルディ・キー」はB(シ♭)の演奏を手助けする便利なメカニズムです。

 そしてほかの方から、リゴレットが恐くて女心が分かるか!ポロネーズが恐くてキャミソールが見れるか(着れるか)!(ポロネーズも女性の服です)、謝肉祭が恐くて肉が食えるか!・・・・・・どんどんエスカレートします。(プログラム参照

 ベームの発明やブリッチャルディの改良により、フルートの性能は飛躍的に向上しました。ブリッチャルディは、フュルステナウやアルテなどと共にベームの応援者で、そのシステムのフルートで曲や教則本を多数残し、また自らの楽曲を携えて各国を演奏旅行で訪れたりしました。時はロマン派、ブラームスやシューマン、リストなどが活躍しており、ピアノや弦楽器の器楽室内楽が謳歌された時期でもあります。現在では、フルートの作品はそれらヴィルトゥオーゾな作曲家の作品に隠れてしまっていますが、名人芸を披露するフルート作品も大いにもてはやされていたのです。「名人芸」と聞くとなにやら軽薄な印象がなきにしもあらず、違いますぞ、音楽発祥の時代よりある由緒正しい作曲テクニックなのです。ベームもブリッチャルディもフルートという楽器の良さを余すことなく発揮しているし歌もある。これ以上なにを望むのか。ただ難しいだけです。

−蛇 足−

 昨日仕事の帰り、車で高速を走らせておりましたらぶつけられてしまいました。接触事故です。場所は首都高から中央自動車道へ入った下り車線。事故はたいしたこともなく、怪我もありません。責任は100%相手側にあり、車もちょっとした修理で済みそうです。変な予知的出来事でなければ良いのですが・・・・・。車を「当てた」と考えれば今日の演奏会は大成功、きっとそれの暗示だ、と思いたい。でも「当てられた」とすれば、共演の志田さんの 美貌に 注目を持って行かれてしまうということか。過去に、打楽器との共演で注目を独り占めされた経験があるので、もしそうだったらやだなー。

M.K.

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フルート・コミュニケーションVol.26-1998.8/21(Fri.)

(クライス・フルート・ソロイス Vol.26)

−たまには音楽と関係ない話も・・・−

 数日前の、クリントン大統領の釈明(?)演説をテレビで見た方も多いと思う。それに先立ち、現職大統領として米国史上初めて自らの犯罪容疑について連邦大陪審で宣誓証言をした。元実習生のモニカ・ルインスキーさんの司法取引による証言によって、にっちもさっちもいかなくなったわけだ。大変なんでしょうね大統領、きっと。

 そこでは、偽証罪に関しては否定したが、「不適切な関係」についてはとうとう認めた。一国の主が自らの非を認めると言うことは、人間としては当然でも、その立場を考えれば凄いことである。我々が「凄いこと」と思うように馴らされているとも言える。どちらにせよ、その影響は自国にとどまらないはずである。

 が、直後の世論調査では、アメリカ国民の支持率には変化が無く、概ね6割の支持率を維持している。日本で6割の支持率といえば高支持率、それもスキャンダルの後なのに。びっくりである。テレビ演説での、矛先を変える巧みな話術や、もうこの話はうんざり、といったことも影響あるのだろうが、個人主義が徹底し、大統領も人間、といったある種のおおらかさが高支持率の根底にあるのでは?と感じてしまう。メディアや議員の間では激烈に糾弾する声も挙がっているようだが(当然といえば当然)、それでも日本よりずっと人間扱いされているように思う。日本では時として、政治家や高官は人間に非ず、という空気を感じてしまいますから。

 似たような事にイギリス王室がある。例の一連のダイアナの件だって、王室は喧々囂々であったけれど、一般国民は結構楽しんじゃったりしていた。ダイアナの人気は、今もなお絶大の様子。自らの思いを公表したりして、日本の皇室ではとても考えられないことである。

 クリントンにしてもダイアナにしても、その業績を国民は認めている。アメリカは今経済が比較的順調なので、クリントンには頼もしい追い風になったはずである。それぞれの役割を全うしていれば、彼らも人間、少々のことは問題にしない、ということなのであろう。このおおらかさは音楽表現についても同様に感じる。

 私が今まで日本で音楽の勉強や活動をしてきて思うのは、表現における制約に関してである。有名な作品についての表現が制約される風潮がある。笑顔で舞台に出ていっただけで不真面目だ、と言った偉い先生もいたと聞く。結構ナンセンスなことだと思うのだが、どうだろうか。もっとおおらかで自由にしても良いではないか。あれ、やっぱり音楽の話になっちゃった。

M.K.

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フルート・コミュニケーションVol.27-1998.9/18(Fri.)

(クライス・フルート・ソロイス Vol.27)

−音楽家なのか、印刷屋なのか・・・−

 いつものようにこうしてこのコラムを書いている。いつものように前日深夜、いや、正確には当日の深夜である。

 一昨日、プリンタを2台買い換えた。プリンタとは、コンピータにつないで印刷するための機械である。1台はモノクロのA4レーザープリンタ(写真右)、もう1台はA3インクジェット・カラープリンタ(写真左)。

 レーザープリンタは(たぶん)メーカーの想定している使用量をはるかに超えた過剰使用のためあちこちにガタが出て不都合が生じてきたための買い換え。何しろ、この新聞の他にチラシ、チケット、プログラムなど月に最低数百枚は印刷する。カラーの方は、壊れて使用不能になっていた為もあるが、ポスターを自分でも作りたかったので衝動買いしてしまった(47%引きだった)。出費である。

 折しも台風が関東を直撃しているさなか、暴風雨に打たれながらプリンタ2台を車から家へ運び込む。何もこんな時に、と思われるであろう、しかし私は台風のことなど後で知ったのだ。でも人が見れば「お好きなのね」と見えたかも知れない。断っておくが、私はコンピュータなど好きではない、嫌いなのだ。知識も皆無である。勘違いなさりませんよう。

 とにかく一休みの後2台のプリンタをセットする。セットといっても線をつなぐだけではない。線をつないだだけではコンピュータ本体がプリンタがつながっていることを認識できない。全くこのコンピータのなんてお粗末なことか。時代の先端のように言われるがそんなことは全くない。ただややこしく難しいだけである。必要ないならコンピュータなどに近寄らない方が賢明だ。うたい文句に騙されて使い始めたとたんコンピュータ無しでは仕事が出来なくなってしまい、私のように地獄を見る羽目となる。そしてついには、オタクと間違えられてしまう。

 気を取り直し、コンピュータがプリンタが接続されたことを認識できるようにするソフトウエア「ドライバ」をコンピータに移植する。何とか作業が終わり早速ポスターを作ってみる(写真左)。うーーむ、なかなか良い出来ではないか、買って良かった・・・・・。

 翌日来た生徒さんが開口一番「先生、お好きなのネー、生き生きしているワァ」。だから違いますって。仕方なくやっているのですよ、これは!

M.K.

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フルート・コミュニケーションVol.28-1998.10/23(Fri.)

(クライス・フルート・ソロイス Vol.28)

−祝!クラリネット初登場−

 これまでフルートが常に主役だったこのサロンコンサートにクラリネットの登場を願うことになった。奏者は私の後輩、堀チャンである。彼女の清楚な演奏と人柄でファンも多い(ハズ、←推測)。

 クラリネットはとてもポピュラーな楽器だが、独奏を側で聴く機会は以外と少ないように思われる。側で聴いて一番驚かれるのはその音量であろう。フルートに比べてとても大きい音がする。フルートはオーケストラで使われる代表的な楽器の中で、一番小さい音しか出せないのだ。クラリネットは木製、フルートは金属製なのに、である。ただし、フルートの音量は小さくとも音の通りは互角である。

 クラリネットの甘く柔らかい音色とは裏腹に、合奏の中では大活躍する。オーケストラの中では旋律も当然こなすが、ハーモニーの中核をも支え、吹奏楽の中ではヴァイオリンの役目を果たす。木管アンサンブルでは旋律以外にヴィオラ的に振る舞う、というマルチ楽器なのである。

 クラリネットは木で出来ているので木を気を使う。新品の楽器を買った場合は、楽器が馴染むまで最初は短時間の練習から始め、徐々に練習時間を長くしていくのだそうだ(フルートなんか全然関係なし)。楽器は演奏中と同様の温度になるまで暖めてから吹く方が良く鳴るのだが、特に冬など楽器が冷たくなっている時など、急激に暖めると管体が割れてしまうのだそうだ(フルートはストーブの前でいきなり暖めても大丈夫)。リードだって10枚買っても1枚使い物になれば良い方だとか(フルートにはそんなもの無い)。ああ、見た目では想像できない細やかな気の使い様。堀チャン、アンタは偉い。

 さて、フルートは低音から高音まで速いスピードで華麗に演奏するのが得意だ。目立ちたがり屋でもある。反面、無音からすっと音を出したり消え入るように演奏を終えるのは割と不得意な楽器だ。クラリネットは違う。華麗に演奏できるのにまろやか。ごくごく小さい音から初めて、まさに消え入るように音を切るのが大得意。そこに至福の歓びを見いだしているのではないかと思うほどだ。チャイコフスキーの悲愴には「pppppp」なんて、とんでもない指示があるがクラリネットは余裕、フルートは冷や汗。小さい音はフルートは音程が下がるがクラリネットは上がる。大きい音はその逆。

 何から何まで逆のようなフルートとクラリネット、でも音楽すると良く解け合うのですね、不思議なことに。

M.K.

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フルート・コミュニケーションVol.29-1998.11/20(Fri.)

(クライス・フルート・ソロイス Vol.29)

−音楽を創るということ−

 当シリーズで取り上げる曲目は、音楽を愛好する方々のみならず我々プロのフルーティストにとっても 知られざる曲 が多い。勿論模範となる演奏も殆ど皆無である。 模範になる音楽が無いということはどういうことなのか。実は何でもないことなのだ。

 例えばモーツァルトなどは、星の数ほどの演奏家が砂漠の砂粒に匹敵する数の演奏を行っていて、知らず知らずのうちに耳に入り、自分の感性や考えとは無関係に曲のイメージが出来上がってしまう。それらの演奏が時には参考にもなるが、他人の創った音楽のイメージをすぐ連想してしまうのは甚だ危険なことなのだ。オリジナルは一人いればよい。コピーなどいらないからだ。注意していないと、他人の演奏がその曲の演奏上のセオリーと勘違いしてしまうことがあるのだ。あぶないあぶない。それらは大抵素晴らしい演奏だったりするから。

 誰も演奏しないような・・・例えば本日のノイマンのように・・・曲を演奏するのは楽しい。演奏上の模範を創るという栄誉、無から新しい音楽を生み出すという歓びがある。はっきり言って燃えてしまうのである。本番で聴衆がどんな反応を示すかとても楽しみなのである。ま、あまり喜ばしくない場合も時としてあるのだが。

 プロの演奏家が演奏会に向けて行う合わせ練習は大抵2回ほどである。難しいパッセージなどは個人的に練習するべきものなので、合わせは音楽について集中的に練習をする。練習とは厳密にいえば打ち合わせ程度のものなのだ。ここは、ゆっくり優しくやろう、ここは軽快に、などと。何故打ち合わせかというと、練習場所と本番の会場ではその環境が大抵の場合違うので、本番で新たに音楽を創るという作業が待っている。決して 練習通りに やろうとしているのではない。練習時の打ち合わせを元に音楽を創造するのだ。だから、練習に5回も10回も時間をかけるのはプロではない。

 馴染みの無い曲での本番はスリル満点である。本番という、ある意味では特殊な状況下で、共演者がその曲からどんな反応をし、どんな音楽を創ろうとするのか予想できないからである。その日の体調や天候、会場のお客さんの情況や反応、全てが影響する。考えただけでもわくわくする。

 音楽は練習だけでは決して作れない。また長く練習すれば出来るというものでもない。音楽に真面目に集中し、対峙し、本場を迎えてやっと出来上がるものなのである。

M.K.

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フルート・コミュニケーションVol.30-1998.12/18(Fri.)

(クライス・フルート・ソロイス Vol.30)

−アレンジの楽しみ−

 今回はクライス専属アレンジャー近藤が筆を進めたいと思います。

 フルートアンサンブルのアレンジ曲をミニヨンで演奏して今回が3回目ですが、大雑把な自分史を編纂すると古くは小学生の時に、バッハのトッカータとフーガのオルガン用3段楽譜をピアノで弾けるように苦心した頃からアレンジャーの道は始まったのです。

 中学生になると好きな歌謡曲の伴奏を作って、ピアノで弾きながら家族のいない時を狙って蚊の鳴くような声で歌っては悦に入っていました。

 大学の時はヤマハのポプコン(ポピュラーコンテストの略、シンガーソングライターの登竜門の様な存在だった。)に応募したこともありました。もっと根性があったら”第2のあみん(注:あみん・・・”私 待つわ”のフレーズで大ヒットした女性2人組の歌手)”となり、今頃は超大物芸能人としてブラウン管を賑わせていたかもしれません。 (誰です?芸名は”やきあみ”にしたらと言う方は?)

 応募した曲は敢えなく落選。説得力と歌唱力に難アリでした。相棒は声楽科の子だったのですが・・えっ?私?

 卒業後は、賛美歌のアレンジをして西村信子さんの歌でカセットテープが 発売されました。まだ在庫があるかもしれませんよ!

 これまでのフルートの曲のアンコールピースを作るときは、季節感を出したい、日本の曲を演奏したい、という思いがありました。

 それから、フルート特有の音色やパッセージを存分に発揮出来るよう、今まで伴奏してきた曲を参考にするべく思い浮かべ、そして華やかで響きがおしゃれで心地よいようにあれこれ混ぜ合わせて出来上がりました。クライスでなくてはお聴きになれません。

 もう一つクライスのためのアレンジする時に大事なことは、奏者に絶対の信頼があるということです。だからどんな無理難題、超絶技巧に作っても平気の平気、朝飯前に吹いてくれます。聴衆も奏者も楽しんで下さったらそれこそがアレンジャーの楽しみです。いえ、決っっしていぢわるをして困らせようとなんて思っていませんからね、上坂さん!

 さて、今宵はクリスマス特集のお国巡り3部作。いつもいらして下さるY様のリクエストにお答えしてのつもりですが、がっかりしたらごめんなさい。

M.K.

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