上 坂 学・室内楽シリーズ 演奏会後記


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Vol.29:フルートと打楽器の音楽−1998.9/9(Wed.)


< Vol.29 / フルートと打楽器の音楽 >
1998.9/9(Wed.)

出 演:Fl.上坂 学    Perc.伊勢 友一

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 シリーズVol.29は、シリーズ初の打楽器との共演です。曲目はプログラム詳細をご覧下さい。写真左は、ゲネ・プロでの打楽器のセッティングの様子です。4人の後輩に助っ人を頼んでの大仕事です。打楽器は体力勝負、大きな楽奇を運ぶわけですから引っ越し屋さんにも即採用間違い無しです。それでもセッティングには1時間以上を要します。ああ、フルートで良かった!?

 共演の打楽器奏者・伊勢友一君とは過去に何度か共演していますが、合わせが全て現代曲で一晩の演奏会をこなすのは初めてのことです。彼も舞台はたくさんこなしていますが、当夜のソロに準ずるほどの内容はそう多くはありません。本番前の練習の時点から力が入ります。

 まず困るのは練習場所。フルートと何十もの打楽器を駆使しての演奏になるわけですから、とうてい自宅で練習できるはずもありません。演奏中の音量だって相当な物です。そこで本番6日前から貸しスタジオを貸し切り、毎日通い詰めて集中的に音楽作りをしました。

 休憩を入れて1日8時間の練習時間、それも緊張の連続ですから疲労も相当なもの。いかに緊張感を持続させるのが困難か身をもって体験するわけですが、ここが踏ん張りどころ、自分に暗示をかけてでも最後まで音楽的な思考を持続させます。

 「このところずっと胃のあたりがいたくて・・・」と伊勢君。連日の長時間にわたる練習、胃だって疲れます。「ああ、きっと胃潰瘍だね、良くて胃炎、十二指腸潰瘍かも」とわたし、冗談のつもりでちょっと脅かします。伊勢君それを聞いて怯えながらも、空腹は空腹、練習3日目のお昼にとんかつ屋さんへ向かいました。「胃が痛いんで食欲もなくて・・・」と言いながら伊勢君はしっかり大盛りライスを注文していました。じゃあ、食欲のある時ってどれほど食べるわけ?????さすがタイコたたきですね!

 
 写真右は演奏会当日のゲネプロの様子です。
 毎日のスタジオ通いもあっという間に終わり本番当日。ホールでは開演ぎりぎりまでゲネ・プロを行いました。
 普通の演奏会ではホールの響きを確かめ、演奏に修正を加え、後は本番に向けて自分の気持ちを高めて行くだけですが、打楽器はそうはいきません。曲によって使用する楽器のセットが違うので、打ち合わせをしながらのゲネプロとなりました。
 
 写真左は、開演直前の楽屋、進行の最終打ち合わせをする伊勢君と後輩達です。

 私は開演が近づくにつれ気持ちが高揚して気分が楽しくなるタイプですが、いつも明るい伊勢君も今日ばかりは緊張気味、失敗の無いよう念入りに最終打ち合わせをしていました。


 写真右はG.アミーの5/16(16分の5と読む、16分の5拍子ということ、5月16日ではない)の演奏の様子。故・武満徹の捧げられています。フルートの難しいパッセージの間に、たまに叩かれる拍子木が緊張感をかもし出します。

 今回の舞台では伊勢君の提案を取り入れ、私としては初めて照明にも凝ってみました。打楽器の世界ではごく普通のようですが、初めての体験にちょっと緊張。第一譜面が見ずらいのですね、暗くて。それに、前方からのスポットが当たるわけですから、フルートから反射された光が譜面に綺麗な幾何学模様を投影してしまいます。お客さんの顔も見えない。そのお陰で音楽により集中することは出来ましたが・・・・・。

 
 写真左は、アメリカの打楽器奏者、指揮者で作曲家N.デポンテの演奏の様子です。
 「Thoughts」と名付けられたこの曲も現代曲の一つです。当夜唯一のヴィブラホンを使用しての演奏、打楽器ではありますがちゃんとして音程がありメロディも担当します。古典のようにわかりやすく親しみやすい曲で聴衆の人気も高く「こういう古典的な響きがかえって新鮮に聴けた」という感想も頂きました。ブィブラホンって良く響きますね、コーン、と軽く一叩きするだけで会場に音が充満します。モーター駆動によるヴィブラートは響きすぎてしまうので遠慮していただきました。
 
 写真右はM.オプストのニュアンス第2楽章、アルトフルートを吹いています。

 明朗・快活な1楽章にくらべ、2楽章は人の心を不安にさせる響きがします。現代奏法も取り入れられていて、ホイッスル・トーン(ピーッとか細い高い音、口笛のよう)、四分音(半音のまた半音)、ボルタメント(高さの違う音を連続的に変化させる、弦楽器で弦の上を指を滑らせるのと同じ)などがふんだんに出てきます。その効果は、風のようにも聞こえ、雅楽のようにも感じます。アミーの曲では、強いタンギングのみで音は出さず、タンギングそのものをフルートの管内に響かせるというテクニックも駆使されました。

 
 写真左は、アンコール1曲目で演奏したシャンソネッタ・テデスカです。

 またまたここでも伊勢君のパフォーマンス登場、右足首に鈴を巻いているのが分かりますか?足に巻いた鈴でリズムを取りながらタイコを叩いています。


 知らない曲しかも現代曲ばかりで聴衆はついてこれるだろうか、と言う心配は杞憂に終わりました。楽しかった、演奏が短く感じた、など嬉しいお言葉を頂戴いたしました。感謝と歓びの気持ちでいっぱいです。

 当日頂戴したアンケートの一部をご紹介させて頂きます。ありがとうございました。

  • 大変すばらしいConcertでした。上坂さんの、曲によってソノリテ、音色を使い分ける技、すごいです。また、堅くなりがちなこの種のコンサートを上手な会話でつないでいるのも好感が持てました。伊勢君のエッチ!音楽が色っぽいねえ。[国立市 天野様(作曲家)]

−−−ありがとうございます。現代曲ばかりでしたが、思いの外楽しみながら演奏することが出来ました・・・

  • 大変珍しい組み合わせだと思いました。フルートの滅多に聞くことの出来ない技法もあったようで、上坂さんの技術に圧倒されました。伊勢さんの素晴らしいリズム感とパフォーマンスにも拍手を送りたいと思います。[国立市 阪様(ピアノ教師・声楽家)]

−−−ありがとうございます。確かにこの種の音楽は演奏される機会が少ないようですね。でも、良い曲はまだまだたくさんあります。これからもどんどん紹介していきたいと思っています・・・

  • 生の打楽器演奏は初めてで興味深く聴きました。何でも楽器になって演奏者は楽しいのでしょうね。馴染みの無い曲ばかりでしたが、退屈せず最後まで楽しめました。ちょっと冷房が強すぎました。[三鷹市 専頭様(主婦)]

−−−ありがとうございます。冷房申し訳ございません、舞台の上では熱くなって汗だくですので気付きませんでした。今後注意します。退屈しなかったというお言葉、何よりも嬉しく思います・・・

ご意見ありがとうございました。

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