クライス・フルート・ソロイスツ 演奏会後記5
Vol.11〜Vol.16 Vol.17〜Vol.22 Vol.23〜Vol.28 Vol.29〜Vol.34 [ Vol.35〜Vol.40 ] Vol.41〜Vol.46 Vol.47〜Vol.52 Vol.53〜Vol.60
Vol.36:今を渡る彩 〜ソロ・リサイタル〜
Vol.37:東洋の風
Vol.38:フルートのパガニーニ 〜チャルディ〜 と 〜E.ケーラー〜
Vol.39:バッハの息子達 〜クリスチャンとフリードリヒ〜
Vol.40:ロマンティック協奏曲 〜 シューマンとライネッケ 〜
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-ソロイスツ後記Vol.35-'99.5/21
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<ヴィルトゥオーゾ・フルート>
当夜は、これぞフルートアンサンブル、という作品を集めてみました。
アンコールは、大保さんの安産を願って「こんにちは赤ちゃん for 3Fl」、近藤さんの編曲です。
イギリスの作曲家ヤコブ(1895-1984)の作品は、Picc,Fl,AFlという、大変珍しい編成の作品です。同じフルート族とは言え、その音色は全く違います。それがかえってそれぞれのパートを際だたせ、とても面白い作品だと思いました。
ロレンツォ(1875-1962)はイタリアのフルーティストで、8才の時から本格的にフルートを始めました。10代でアメリカに渡りフルートで仕事をしていたようです。イタリアへ帰った後、アレッサンドリアの軍楽隊・歌劇場のフルと奏者に始まり、再びアメリカへ渡りニューヨーク・シンフォニー、ミネソタ・シンフォニー、ロス・フィルなどで活躍し、イーストマン音楽学校で後進の指導にも従事しました。
上記2曲はそれほど演奏される機会がありませんが、クーラウとカステレードの作品はフルートアンサンブルの定番。名曲は何回やっても楽しいものです。「笛吹きの休日」には、各楽章に次のようなタイトルが付いています。カステレードは特に人気がありました。
当日頂戴したアンケートの一部をご紹介させて頂きます。
−−−カステレードは、どの楽章も洒落ていますね・・・
−−−ロレンツォは、商小品なのに内容がぎゅっと詰まっている作品ですね・・・
−−−我々も未だ知らない良い曲は沢山あります。どんどん紹介していきたいと思っています・・・
−−−楽しんだ頂けて嬉しいです。次回もお楽しみに!・・・
ご意見ありがとうございました。
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-ソロイスツ後記Vol.36-'99.6/18
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<今を渡る彩 〜ソロ・リサイタル〜>
メンバーの大保麗夏さんの出産に伴い、当シリーズ初めてのソロの夕べになりました。プログラムは以下の通りです。
アンコールは、J.S.バッハのソナタ ロ短調 BWV1030 より第2楽章と、うっとうしい梅雨を吹き飛ばせとの希いを込め(笑)「カエルの歌(隠しテーマ・かたつむり)」(近藤 盟子 編曲)でした。
フランス6人組の1人プーランクのソナタは、今世紀のフルート曲の中で最も優れた作品の1つ、皆さんも良くご存じの名曲です。何回演奏しても新しい発見があり、演奏していて音楽に接する歓びを味わえるソナタです。フランスの作曲家ボザは、パリ音楽院でヴァイオリン、指揮、作曲を学び、教育者としても音楽学校の校長を務めました。その作品にはフルートやサックスなどの管楽器の作品が多く、フルートの作品群は重要なレパートリーとなっています。
ショッカーは、現代アメリカのフルート奏者・作曲家でジュリアス・ベーカーに師事しました。10代でベーカーの講習会に登場し天才少年ともてはやされました。2曲とも大変美しくまた技巧的、ジャズの要素も取り入れられたとても楽しい作品です。演奏されるようになってまだ日が浅いのですが、必ずや多くのフルーティスト達のレパートリーに取り入れられることでしょう。
ロシアの作曲家・指揮者、タクタキシビリはグルジアに生まれ、トビリシ音楽学校に学びました。国立合唱団の練習ピアニストから指揮者、芸術監督と上りつめ、母校でも合唱指揮・作曲を教え校長も務めました。また、政治家としても活躍しました。「ソナタ」は1968年に作曲されていますが、とても親しみやすく、特に3楽章では他のロシアの作曲家同様ロシアの香りが漂います。
当日頂戴したアンケートの一部をご紹介させて頂きます。
−−−難しい曲ですが、私も大変楽しめました!・・・
−−−現代曲でも良い曲はまだまだあります。今後もお楽しみに!・・・
−−−シュターミッツもイイですね、さっそくプログラムを検討いたします・・・
ご意見ありがとうございました。
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-ソロイスツ後記Vol.37-'99.7/30
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< 東 洋 の 風 >
フルートの遠藤尚子さんをゲストにお迎えして日本と中国音楽の特集です。プログラムは以下の通りでした。
アンコールは、夏の思い出−バッハ組曲2番風−(近藤 盟子 編曲)でした。
別宮貞雄(1922.5.24〜・東京)のソナタは、パリ音楽院留学(1952-1954)中の1954年に作曲されました。当時学生だったフルートのドゥボアとピアノの柳川守氏達によって、パリ音楽院作曲家の試験の時に初めて演奏されました。つまり、卒業試験の課題だったわけです。ある初夏のある時、このソナタの冒頭の旋律が浮かび、「これはフルートだ」と感じたのだそうです。東京帝国大学物理科と美学科を卒業、という経歴の持ち主です。桐朋学園大学講師、中央大学文学部教授も務めました。
矢代秋雄(1929.9.10・東京〜1976.4.9・神奈川)は、東京音楽学校(現・芸大)に学び、パリ音楽院に留学(1951-1956)しました。2本のフルートとピアノのためのソナタはNHKの委嘱作品として、フランスから帰って間もなくの 1956年秋に着手し、 1958年1月に完成、フルートの吉田雅夫氏、高橋安治氏(共にNHK交響楽団フルート奏者)、ピアノの田辺みどり氏らによって初演されました。「2本のフルートとピアノとは、良い組み合わせなのに、良い曲が少ないから、ソナタでも書いてみたら」という友人のすすめで作曲する気になったそうです。
尾高尚忠(1911.9.26・東京〜1951.2.16・東京)は、ウィーン国立音楽院で作曲と指揮を学びました。帰国後は、日本交響楽団(現・N響)の常任指揮者に就任し、戦中戦後の混乱期にオーケストラの啓蒙に務めました。日本的な響きを持つ「ピ
アノのためのソナチネ」はウィーン留学中の1940年に作曲され、妻に捧げられています。指揮者・尾高忠明氏の父親です。
休憩をはさみ、「浜辺の歌」「おぼろ月夜」「宵待草」をお聞き頂いた後、「中国民歌集」から5曲演奏いたしました。中国各地で歌い継がれ、本来楽譜は無かったのですが、文化大革命のさなか中国共産党が曲に政治的な歌詞を付けて利用したことで楽譜が残り、広く知られるようになりました。若手作曲家・西尾尚美さんの自由な編曲でお届けいたしました。5曲には、それぞれ次のようなタイトルが付いています。
上記のタイトルは、中国語タイトルの直訳です。もっと深い意味があるかと思われます。野菜を人の喩えにする場合もあるようですので、第2曲目など本来別の意味を持っているのでしょう。この曲は、コンサートの常連さんからのリクエストで、原曲の楽譜をご提供いただきました。ありがとうございました。
当日頂戴したアンケートの一部をご紹介させて頂きます。
−−−中国の調べは、自然に聴くことが出来ますね・・・
−−−西尾さんの編曲も大成功、編曲というより創作に近いものでしょう・・・
−−−日本の名曲とはひと味違った味わいがありましたね・・・
−−−新しいレパートリーが増えて嬉しいです。ぜひ続編をやりたいと思っています・・・
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-ソロイスツ後記Vol.38-'99.8/21
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< フルートのパガニーニ 〜チャルディ〜 と 〜E.ケーラー〜 >
今回は19世紀ロマン派のヴィルトゥオーゾ・フルーティスト、チアルディとケーラーを中心にお届けいたしました。
アンコールは、赤とんぼ(隠しテーマ:虫の声、近藤 盟子 編曲)でした。
チァルディ(1818〜1877)はイタリア・トスカーナ生まれの名フルーティストで、120曲あまりの作品を残しています。33歳の時にはフルートの教本も出版しています。母国での活躍の後ロシアに渡り、サンクト・ペテルスブルクのコンセルヴァ
トワールの教授や、アントン・ルビンシュタイン率いるバレエ団のフルート奏者も務めました。ロシア時代の同僚には、後述のE.ケーラーや、彼の父親J.ケーラーらがいました。「ソロ第2番」は、J.ケーラーに捧げられています。
E.ケーラー(1849〜1907)はイタリア生まれの名フルーティスト、教師、作曲家です。モデナの宮廷の最初のフルート奏者だった父・ヨーゼフからフルートの手ほどきを受けました。20歳の時、ウィーンのカール劇場のフルート奏者としてプロとしての活動を開始しました。2年後、サンクト・ペテルスブルクにあるカイザーリッヒ劇場の首席フルート奏者として迎えられました。E.ケーラーの執筆した作品33の練習曲は、我々笛吹きにとって必須のメソードとなっています。
アンデルセン(1847〜1909)はデンマーク・コペンハーゲンに生まれた偉大なフルート奏者です。コペンハーゲンで活躍の後ベルリンへ渡り、ベルリン・フィルの創設に加わり、ベルリン・フィルの初代首席フルート奏者として活躍しました。代役として指揮もしました。しかし後に健康を損ね、フルートの命であるタンキングに問題を抱えフルーティストとしての活動を断念してしまいます。それからはコペンハーゲンに戻り、オーケストラ・プレイヤーのための学校を設立したり、当地のオーケストラの指揮者として活躍しました。今回演奏するチアルディの「ロシアの謝肉祭」に出てくるカデンツ(伴奏無しでフルート一人で技巧を披露す
る部分)はアンデルセンによるものです。
これらフルートのヴィルトゥオーゾにまじり、やや年長のロマン派ピアニスト、作曲家、指揮者、フンメル(1778〜1837)の作品をピアノ独奏でお楽しみ下さい。フンメルはハンガリー生まれ、幼少より父から音楽教育を受け、ヴァイオリンやピアノに楽才を示し神童とたたえられました。ウィーンに移り住んでからは2年間モーツァルトに師事し、モーツァルトの後押しによりドレスデンでピアニストとしてデビュー、ヨーロッパ各地を演奏旅行で回り好評を博しました。イギリスではハイドンにオルガン奏法を学んでいます。ベートーヴェンとも親交がありましたが、音楽上の意見の食い違いから軋轢が生じてしまいます。また、ゲーテを通じて教養人、文化人との交遊もあったようです。フンメルの一番大きな業績は、ピアノ奏者・教育家として、ウィーン派の音楽・奏法を確立したことでしょう。その影響は、シューベルトやショパンも受けています。また、門下にはメンデルスゾーンらがいます。
−−−名曲集も、また企画いたしましょう・・・
−−−息使いも指使いも分かってしまう、、、それもサロンコンサートの良さ、楽しみの1つですね・・・
−−−チァルディはまさにその通りですね、私もどんどん演奏したいと思います。ピアノもどんどんお願い致しましょう・・・
−−−そもそもテクニカルな曲の上に、アンデルセンのヴィルトゥオーゾなカデンツが付いて、、、吹きごたえのある曲です・・・
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-ソロイスツ後記Vol.39-'99.9/25
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< バッハの息子達 〜クリスチャンとフリードリヒ〜 >
今回は、日頃あまり馴染みのない、大バッハの末子で<ミラノのバッハ>と呼ばれたクリスチャン、そのすぐ上の兄フリードリヒの2人に焦点を当て、長男のフリーデマン、<ベルリンのバッハ>と呼ばれ当時バッハ一族の中で一番有名だったエマヌエルの作品と共にお届けいたしました。プログラムは、
アンコールは、ふるさと(隠しテーマ:もみじ、近藤 盟子 編曲)でした。
当時バッハ一族の中で一番有名だったのは次男・エマヌエルです。天性の社交性でフリードリヒ大王に気に入られ、音楽家あこがれの宮廷音楽家になります。面倒見が良く、弟たちの音楽教育から仕事の世話までしたようです。父・セバスチャンを大王に引き合わせたりもしました。五男・フリードリヒの仕事は、エマヌエルの紹介なら、ということで採用されました。
フリードリヒは、兄弟の中で一番静かな人生を送ったようです。何せ、生涯田舎町の一宮廷音楽家として過ごしたのですから。六男・クリスチャンは、15才の時に父・セバスチャンが亡くなったため大学へ行けず、音楽教育はエマヌエルに頼りましたが、イタリアやイギリスで活躍、その作風はもはや古典といって良いものでしょう。
兄弟中才能はピカイチだった長男・フリーデマンは放蕩息子だったようで、父の音楽家にしようとする熱心な気持ちはあまり伝わらなかったようです。
−−−それぞれの生き様が曲に反映していましたね・・・
−−−そうですね、様式的には古典にかなり近いと言えるでしょう・・・
−−−あのお話しは、私も楽しみなんです・・・
−−−詳しいところを聴いていますね!今度はご自分で演奏なさっては如何でしょう・・・
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-ソロイスツ後記Vol.40-'99.10/16
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< ロマンティック協奏曲 〜 シューマンとライネッケ 〜 >
今回はロマン派の巨匠、シューマンとライネッケの特集です。プログラムは、
アンコールは、小さい秋見つけた( 隠しテーマ:枯れ葉、近藤盟子 編曲 )でした。
悲劇の最期を遂げたシューマンの「3つのロマンス」は、本来オーボエまたはヴァイオリンのために書かれましたが、今日ではフルートにとっても数少ないロマン派の重要なレパートリーになっています。タイトル通りまさにロマンティックなメロディ、重厚なピアノの響きはその音楽の中に酔いしれることが出来るでしょう。
ピアノの独奏でお届けした「花の曲」は、洒落た佳作。「花の〜」というタイトルの割には軽快な曲で、細かく見ると5つの部分に分かれあたかも花束を模しているようです。続けて演奏されるため単一楽章の小品に聞こえますが、タイトルは「Blumenstucke(花の小品集)」となっています。
ライネッケはピアニスト・指揮者としても活躍しました。モーツァルトの研究かとしても著名で、協奏曲のためにたくさんのカデンツァを書いています。モーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲」のために書かれたカデンツァは特に有名で、たくさんのフルーティスト達によって演奏されています。指揮者としては、ゲバントハウス管弦楽団の指揮者として活躍しました。過去にはメンデルスゾーンもタクトを振っており、また、ライネッケの後任はあの往年の名指揮者ニキッシュだと聞くと、ライネッケが歴史上の人物と言うよりとても身近に感じてしまいますね。
「揺りかごから墓場まで」は本来ピアノのための作品ですが、フルートの名手で教則本でも有名なE.ケーラーが全16曲中8曲を選んで編曲した版でお届けいたしました。
−−−アンコールは、何が出てくるかいつもどきどきです(笑)・・・
−−−ありがとうございます。参考になりましたでしょうか・・・
−−−ええ、何でもこなしますとも!!(笑)・・・
−−−知られざる名曲、お任せ下さい!!・・・
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記録 後記 |
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