クライス・フルート・ソロイスツ 演奏会後記8
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-ソロイスツ後記Vol.53-2000.11/11(Sat.)
( シリーズの全プログラム )
< インプロヴィゼーション > 出 演:Fl.上坂 学、Pf.近藤 盟子
<Fl、又はVinかObと通奏低音のためのソナタ集より>
−ソナタ ホ短調 Op1-1b(HWV.359a)
−ソナタ ヘ長調 Op.1-11(HWV.369)
−−−−−−−−− Tea Time −−−−−−−−−
−フルートとジャズピアノのための第1組曲(1975年、45歳)
アンコールは、小さい秋見つけた(近藤 盟子 編曲)でした.
ヘンデルのソナタはファクシミリ譜を除き、現在出版されている楽譜はピアノ(チェンバロ)譜のスコアとフルート(トラベルソ、リコーダー)のパート譜から成っていますが、ヘンデルが作曲したのはピアノの左手部分(つまり、通奏低音)とフルートの旋律だけでした。これを完全な形で演奏する場合は、チェンバロ奏者が即興で右手の和声部分を演奏し、通奏低音の補強の意味でガンバなどが演奏したのです。ソロのフルートも楽譜通りには演奏せず、トリルなどの装飾を即興で施しました。当日の演奏では、現代譜を用いながらもピアノ・フルート共に即興で装飾を施したのは言うまでもありません。会場の雰囲気やお客さんの反応を見ながら曲に手を加えていくのは楽しいものです。解説の大竹さんに「では、ここでちょっとソロで即興演奏をしてもらいましょう」には閉口しましたが(笑)。
ボランの組曲は、後に続編が作曲されたことから現在では第1組曲として親しまれています。今から25年以上前にランパルのために作曲されました。ランパルと作曲者ボランのピアノ、それにベースとスネアを入れたフル編成でのCD(当時はもちろんレコード)がリリースされ大変な人気を呼びました。近年、この組曲の中からアンコールピースとして演奏されるケースが増え、再び人気が出てきたようです。その際、作曲者を「ボーリング(BOLLING)」と紹介されているようですが、フランス人なので「ボラン」と発音する方が正しいでしょう。曲全体を通して、気さくな楽しい組曲です。
もちろん、アンコールも即興性たっぷりでした!
−−−いやー、実際楽しいですヨ・・・
−−−休憩中の歓談も、このコンサートの楽しみの一つです・・・
−−−フルートにもチャレンジしてくださいねっ!・・・
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-ソロイスツ後記Vol.54-2000.12/2(Sat.)
( シリーズの全プログラム )
< クリスマス協奏曲 >
<ターフェル・ムジーク第2集より第2曲、1733年[52歳]>
−四重奏曲(原曲:Rec,2Fl,Bc)
<12の合奏協奏曲Op.6より(1690年頃[37歳]、1714年[没後1年])アムステルダムで出版>
−第8番「クリスマス協奏曲」ト長調Op.6-8(2Fl,Pf)
−−−−−−−−− Tea Time −−−−−−−−−
アンコールは、ホワイトクリスマス(近藤 盟子 編曲)でした.
テレマンは、当時の大人気作曲家で同世代のバッハより有名でした。商才もあり、定期発行の雑誌(新聞?)も発行し、自作の楽譜を付録として付けていました。「ターフェル・ムジーク」は訳せば「食卓の音楽」で、貴族の食事時のBGMの意味がありますが、決して軽んじられるような作品ではありません。構成のしっかりした、しかし、楽しめる秀作です。
コレッリはイタリアのヴァイオリニストとして活躍しました。「クリスマス協奏曲」含む合奏協奏曲は彼の代表作ですが、独奏の2Vlnをフルートに置き換えたアレンジを演奏しました。このような試みは、当時の習慣(音域があえばどの楽器で演奏しても良い)から見れば何ら問題のないことでしょう。教会ソナタ形式といわれる 緩−急−緩−急 という基本構成で出来ていますが、4楽章のように舞曲の要素を取り入れた自由な構成で作曲されています。特に2楽章のAllegroはフルートの響きに良く合い、美しい響きを可能にしています。
後半は楽しい楽しい小品集。アマチュアの皆さんでも十分に演奏できる曲ばかりです。アンダーソンの曲は、オーケストラの鑑賞教室で必ず演奏される名曲ですね。いつも羨ましく思っていたのですが、、、いやーーー、フルートで吹いてもなかなかのモノですよ。お試しあれ!
−−−ありがとうございます!バロックとミニヨンはぴったりですね・・・
−−−う〜ん、自分で思うより美しいイメージだ(笑)これからは、キラキラつやつやするように頑張ります!・・・
−−−遠方よりありがとうございました!またお目にかかれる事を祈っております・・・
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-ソロイスツ後記Vol.55-2001.1/20(Sat.)
( シリーズの全プログラム )
< バロックから古典へ > 出 演:Fl.上坂 学、Fl.遠藤 尚子
−新しいコンセール ヘ長調
−19の組曲より、第1組曲 ト長調
−−−−−−−−− Tea Time −−−−−−−−−
−6つの二重奏より、第2番 ヘ長調 Op.16-2
−6つの二重奏より、第4番 ヘ長調
アンコールは、竹田の子守歌でした.
クープランは音楽一族の家系で、フランソアはルイ14世に仕えていました。サン・ジェルヴェ聖堂のオルガニストなどをつとめましたが、功績はなんと言ってもクラヴサンの奏法を確立し、「クラヴサン奏法」を著したことでしょう。時の王子や王女にクラヴサンを教えていました。また、画家としての腕前もあったようで、表題のある作品も多数あります。コンセールはクープランの代表作でもありますが、その多くは複数の楽器による合奏形式で作曲されています。そんな中で新しいコンセールは、2つのヴィオラ・ダ・ガンバ又は2つのチェロ又は2つのバスーンのために作曲されている、というところが新しいわけです。単旋律管楽器の二重奏は、フルートで演奏してもとても面白く、もちろんフルートとオーボエ、フルートとヴァイオリンなどの組み合わせでも楽しいと思います。
ラ・バールはフランスのフルーティストで、フルートのために独奏、二、三重奏など多数作曲しています。「19の組曲」は教会ソナタ形式で多くの舞曲からなり長大な作品です。多くの楽章を1つの作品としてまとめ上げるのが演奏のポイントとなりますね。
ブレヴァルはフランスのチェロ奏者で、25歳の時に自作のチェロソナタで演奏家としての活動を開始した人です。フルートの作品を残したチェロ奏者というとすぐにローンベルグの名が浮かびますが、テクニックを誇りどうやら威圧的な人間だったらしいローンベルグの作品にくらべて、ブレヴァルの作品は素直で優しく親しみやすい作風となっています。アマチュアの方にもお奨めしたい作品です。チェリストとしてのブレヴァルは、劇場のチェリストを経てオペラ座のチェロ奏者として活躍しました。教師としても大変人気があったようです。作品はやはりチェロのためのものが多く、協奏曲は7曲も書いています。チェロのための教則本も著しています。
今宵唯一のドイツ人フリーデマン・バッハは、ご存じセバスチャン・バッハの長男です。ブレヴァルより43歳も年上なのですが、その作風は前古典派といっても良く当時としては前衛的だったかもしれません。未熟な楽器だったフルートのための作品としては父親以上にテクニカルで、現代のモダン楽器で演奏しても大変困難です。それだけに演奏効果は抜群、といったところでしょうか。
−−−両曲とも、少しじっくり取り組めばアマチュアでも楽しめますね。頑張ってください!・・・
−−−フリーデマンはちょっと先を見越したような作風ですね。・・・
−−−ありがとうございます。色々な作品を紹介するのもやみつきになりそうです!・・・
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-ソロイスツ後記Vol.56-2001.2/17(Sat.)
( シリーズの全プログラム )
< フランス讃歌〜タッファネルとゴーベール〜 > 出 演:Fl.上坂 学、Pf.近藤 盟子
−バラード(1927年、48歳)
−マドリガル(1908年、29歳)
−ノクチュルヌとアレグロ・スケルツァンド(1906年、27歳)
−−−−−−−−− Tea Time −−−−−−−−−
−ウエーバー「魔弾の射手」による幻想曲(1876年、32歳)
−トマ「ミニヨン」の主題によるグランドファンタジー
この二人は、音階の総合練習「タファネル=ゴーベール」でもお馴染みです。師弟の関係でもありますが、相当の名手だったことは今晩演奏した曲からも伺えます。奇をてらったテクニックではないのですが相当難しい。基礎的なテクニックがないとどうにもならない曲です。そういう意味においてはモーツァルトの難しさに匹敵するかもしれません。
マドリガルはおそらくアマチュアのために書かれた曲で、現在でも発表会等で良く登場する美しい曲です。ノクチュルヌ(ノクターン:夜想曲)とアレグロ・スケルツァンドはパリ音楽院の卒業試験曲でした。タファネルの2曲は、前奏に続き主題とそのヴァリエーションという構成で、テクニカルかつ楽しい作品。有名なフレーズが出てくるのは演奏者にとっても喜びですね。
−−−これだけまとめて演奏していると、春どころか大汗かいて真夏のようでした(笑)・・・
−−−大きな枠の中で自由に歌う、、、アンサンブルの極致でしょうか・・・
−−−ありがとうございます。これからもお楽しみいただけるよう頑張りたいと思います・・・
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-ソロイスツ後記Vol.57-2001.3/17(Sat.)
( シリーズの全プログラム )
< デュオ・セレクション2 > 出 演:Fl.上坂 学、Fl.遠藤 尚子
−2Flの為の二重奏 Op.75-2 より第2番
−2Fl(又は2Vln)の為の12の二重奏 Op.42 より第4番
−−−−−−−−− Tea Time −−−−−−−−−
−ウエーバー”プレチオーザ(1821)”による二重奏
−ロッシーニ”セビリアの理髪師(1816)”による二重奏
ほぼ同時代のフックの作品も、聴いていて同様な安心感?があります。この作品はフックが音楽を教える教材として作曲されたからでしょう。フックを取り上げるのは初めてではありませんが、クラシックの世界では案外珍しいイギリスの作曲家で、その作風には中央ヨーロッパの作風と明らかに異なった響きを持っています。演奏する機会が少ないからでしょうが、とまどいを感じることも事実です。曲はどれも短い2つの楽章から成り立っています。
ドップラーの作品は、我々笛吹にとって避けては通れない重要な作曲家ですが、伴奏のない二重奏を演奏するのは初めてです。これらの作品は、それぞれのオペラから序曲や有名なアリアがポプリとして出来上がっていて、フルートだけでなくオペラが好きな人でも気軽に楽しめる良い曲だと思います。ドップラーは日頃劇場のオーケストラで仕事をしていましたので、毎夜演奏されるオペラの素晴らしさを熟知していたのでしょう。素晴らしいアリアを耳にすれば、それをフルートでやってみたい、という衝動に駆られるのは十分理解できます。やはりフルートが好きなんですねえ。皆さんにも身に覚えがあるでしょう?声楽や弦楽器の音楽は、音楽というものの基本的な部分に直に訴える要素があると感じます。とても参考になり、では、フルートでどこまで出来るか、という挑戦は笛吹なら必須の心でしょう。モイーズが「トーンディベロップメント」というテキストの中で、アリアを多用しているのを連想させますね。
−−−ありがとうございます。同族楽器での合奏は、音楽の基本的な要求だと思うことがあります。楽しいからですね!・・・
−−−ドヴィエンヌはアマチュアでも楽しめるよい曲ですね。バッハは秋に演奏予定です・・・
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-ソロイスツ後記Vol.58-2001.4/7(Sat.)
( シリーズの全プログラム )
< ウィーンで活躍したヴィルトゥオーゾ〜二重協奏曲集〜 >
−2Flの為の協奏曲 ハ長調
−2Flの為の協奏交響曲 ヘ長調 −−−−−−−−− Tea Time −−−−−−−−−
−FlとOrchのためのアンダンテ ハ長調 K.315
−2Flの為の協奏曲(協奏交響曲) ト長調
アンコールは、「花」(2Fl+Pf、近藤盟子 編曲)でした。
サリエリの弟子の1人モシェレスは、チェコ生まれのドイツで活躍したピアノ奏者、指揮者、作曲家です。ウィーンに出てからベートヴェンと知り合い、サリエリに作曲を習ったりしました。やがて演奏家としての名声も得、メンデルスゾーンにピアノを教えたりしています。パリではショパンと知り合い、自作の4手のためのソナタを、パリの王室でショパンと共演しています。演奏した協奏曲はとてもヴィルトゥオーゾな作風で、演奏していてスカッとします(笑)。どちらかというと、教育方面でその才能を発揮したようです。メンデルスゾーンが創設したライプツィヒの音楽院でピアノ科の主任教授になっています。
サリエリのあとを継いでウィーンの宮廷楽長に就任したのがチマローザです。ロシアの女帝、エカテリーナに招聘されロシアで活躍した帰りに、旧知のオーストリア皇帝・レオポルト2世に呼ばれウィーンに寄ってのことでした。皇帝の死後、楽長の座を再びサリエリに譲りイタリアに帰って活躍しましたが、晩年急死したためここでも毒殺説が飛び交いました。こちらの毒殺説は史実なのです。どうやら今日の隠れテーマは「毒殺」ということになりますね。。。。実際は過労による死だったようですが。
−−−いつもは別々に演奏するこれらの音楽家が同じ場所で活躍していたと思いを馳せると、また違って聞こえてきますね・・・
−−−これからもアンコールにはご期待下さい!・・・
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-ソロイスツ後記Vol.59-2001.5/26(Sat.)
( シリーズの全プログラム )
< 詩人のうた > 出 演:Fl.上坂 学、近藤 盟子
−ピアノソナタ第3番ロ短調Op.58(1844)
−−−−−−−−− Tea Time −−−−−−−−−
−フルートソナタト短調Op.65(1846-49)
結果は、、、フルートにとって貴重なレパートリーを1つ増やすことが出来ました!この曲はピアノも対等に音楽しますので聴き応えも十分です。またプログラムに組みたいと思っています。
−−−ショパンの曲はとてもロマティックですね!!・・・
−−−ありがとうございます。好評だったのでそのうち再演しようと思っています・・・
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-ソロイスツ後記Vol.60-2001.6/23(Sat.)
( シリーズの全プログラム )
< バロックから古典へ・2 > 出 演:Fl.上坂 学、Fl.遠藤 尚子
−6つの二重奏曲集より第4番ロ短調Op.2-4
−6つの二重奏曲集より第1番ト長調Op.2-1
−−−−−−−−− Tea Time −−−−−−−−−
−オラトリオ「天地創造」Hob.21-2より(1796-98)
−3つの二重奏曲より第3番ト長調Op.20-3
テレマンは、当時バッハより有名な人気流行作曲家でした。貴族だけのためばかりではなく、アマチュア音楽家のためにもたくさんの楽曲を残しました。今夜演奏した二重奏もその中の1つです。会員を募り毎月会報を発行し、その会報に自作の楽譜を付録として付けるなど、投資としては斬新な発想で事故を世に広めていきました。商才もあったようですね。演奏した二重奏は、様式というより自由な曲想で、とても楽しめます。こんにちでもアマチュアの重要なレパートリーです。
それに比べて、フルート奏者でもあったクヴァンツはプロイセンの宮廷音楽家として活躍しました。そこには大バッハの次男、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハもいました。クヴァンツは、俗に言うフリードリッヒ大王のフルートの先生をしていたのです。大王のフルート演奏の伴奏をしていたのが、エマヌエルです。他にイタリアからの音楽家も宮廷にいましたが、当時音楽の中心はイタリアであり、イタリア人というだけで自分の何倍もの報酬を得ることに大きな不満も感じていました。有名な著書「フルート奏法試論」の中に、”出世したければ、腕前ではなくお世辞をうまく言えなければならない”とイタリア人を痛烈に批判しています。テレマンの作品と違い、バロック様式を忠実に踏襲した厳格な作品でした。これはこれで敬虔な気持ちにさせてくれます。
さて、今日の一押し!、ハイドンの天地創造です。皆さんご存じの通りハイドンの代表作ともいわれるオラトリオが原曲です。このアレンジは1806年ウィーンで編曲・出版された、と記録が残っています。原曲が作曲されたわずか8年後にまだまだマイナーだったフルートという管楽器のために編曲されたということは、天地創造の人気が伺われます。声楽曲ですので器楽曲とはメロディーの歌い回しが全然違います。それをフルートで演奏できるのですからわくわくします。この曲もまた「再演したいリスト」に入れておきましょう!
最後にホフマイスターの二重奏です。この作品はフルート二重奏の定番に入りますが、一般的には(笛吹以外には)あまり知られていません。ホフマイスターは作曲家としてだけではなく、出版者としての側面も持っています。彼が1800年に開設した出版社は、後に有名なペータース社となります。演奏した作品は、フルートの技巧が発揮できる典型的な二重奏となっています。典型的ですが、やはり笛吹きにとっては楽しいものです(^_^)/
−−−ありがとうございます。今夜の演目も、フルートアンサンブルの1つの定番ですね・・・
−−−テレマンの曲はアマチュアを意識して作曲されていますので馴染みやすいですね。今日は有名人ばかりでしたので解説の大竹さんもノッていましたね・・・
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記録 後記 |
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