◆ リニューアル「新つれづれに」はこちら ◆by Manabu Kamisaka ご意見 ExitOp.1〜Op.6 [Op.7〜Op.12] Op.13〜Op.18 Op.19〜Op.24
Op.8:あるコンサートにて(6/27) Op.9:フルートの頭部管試奏(6/28) Op.10:札幌訪問記 其の壱(7/9) Op.11:札幌訪問記 其の弐(7/25) Op.12:札幌訪問記 其の参(8/19) |
−病院と音楽のミスマッチ−
昨日(6/14)、「クリニックのひろば」と題して個人病院の待合室でのサロンコンサートに出かけてきました。この病院、私のとある生徒さんの奥様が数年前に開業なさった病院で、診療科目は内科、小児科、循環器科、ご専門は循環器科とのことです。ですからこの先生、私がたばこを吸おうものならたちまち鬼に変身し、とても恐いのであります。
こういう演奏会は真面目な態度で開催されていれば、それはとても贅沢な催し物だと思います。なにせ少人数で生演奏を独占する訳ですから。日頃落ち着きのない子供達もじっと演奏に見入っていました。休憩時間にはワインとカナッペ、それにプチケーキがサービスされ、さながら王侯貴族の気分です。いや、たまには聴衆にになるのもイイもんですなぁ。
「クリニックのひろば」の催し物は音楽に限らずその時々のトピックをあつかった講演なども催され、過去にはフラメンコ(音楽と舞踏)などもあったりしてなかなか多彩です。私もフルーティストの大保さんとフルート二重奏で出演したことがあります。こういう地味ながらも貴重な”時”を提供してくれる場はとても少ないように思われます。私も微力ながら応援していきたいと思います。
−ゲネプロの風景−
先日、知り合いのピアニスト(女性)の室内楽演奏会へ出かけてきました。某オーケストラの弦楽器奏者4人を雇い今回で6回目、なかなか精力的な活動振りであります。実は裏方を頼まれましたので調律から終演まで立ち会い、本番中はビデオの撮影係りです。元来ものぐさな私がそんなことをするのも、「上坂さんのビデオ、とっても上手って大評判なんですよぉ」のおだてに、いとも簡単に乗せられた結果なのであります。
ゲネプロの時間が近づくにつれ、次々とメンバーがホールに到着します。それにしてもこのグループ、まぁなんと仲の良いことか。和気藹々としている。大体弦のメンバーは全員同じオーケストラに所属しているのだが、同じオーケストラの同じ楽器で仲の良いのなんて珍しい。管と弦とで仲がよいのは普通です。いえ、そういうものなんです。とにかく仲良く楽しそうなのが羨ましい。私の一匹狼的性根から来る僻みですかネ、これは。
かくしてゲネプロは始まりました。ゲネプロは普通、そのホールの音響状態や本番直前のチェックなどが主で、本番に向けて体力や集中力を温存するのがふつーなのですが、このグループは違う、フルに練習モーレツに練習をしたのです。3時半に始まって終わったのが6時15分。これは異常です。何という情熱、何という気迫。ゲネプロもビデオ撮影していた私は、もうつかれてしまいました。疲れている私にはお構いなく(当然だ)皆は楽しそう。相変わらず和気藹々、お花のマークが飛び交っているのでした。
−本番は−
2000円也の仕出し弁当を大変おいしく頂き、いよいよ本番です。演奏者達は相変わらずのペース。大丈夫かいな。
いよいよ本番、お客様が次々といらっしゃいます。いいですネ、このひととき。心地よい緊張と期待。雑念を忘れられる瞬間です。ビデオ機器のチェックを今一度し、準備も完了、本ベルが鳴り出しました。出てきた演奏者の顔には演奏する喜びとやる気でみなぎっている。すげー(下品ですみません)、と思う間もなく演奏開始。最後までもつのかな、も単なる杞憂。いるんですねぇ、こういう人達。後半のドヴォルザークのスケルツォ、ほら、中村紘子さんがカレーのコマーシャルで楽しそうに演奏していたやつ、そのころには奏者も益々ノリノリで客席もノリノリ、楽しかったなぁ。きっとお客さん達、帰りにカレー食べたんだろうなぁ。
M.K.
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−ワタシ、悩みます−
昨日、元ソロイスツメンバーの井上さんの頭部管試奏に、35度の猛暑の中、村松フルートの工場へ赴きました。頭部管とは直接唇にあてて息を吹き込む部分。フルートで一番大切な部分です。
工場へ向かう車中、「工場へ行ったらね、曽根さんというエライ方がいてね(井上さんは初対面なのです)、4〜5本の頭部管を持ってくるからね、そこで吹くわけ。はい低音吹いて、とか高音吹いて、次はスタッカート、有名な曲のワンフレーズ、とか次々に指定されるからね、ちゃんと吹いてよ、プロなんだからね。」「えぇー、脅かさないでくださいよぉ」「だって、本当だもん。そうやって客観的に選定の手助けをしてくれるんだから。ありがたいでしょ。」実際、本当のことなのである。何も知らないで行ってあがっちゃうより、事前に知らせておいた方が親切なのだと、心を鬼にして脅かしまくりました。
試奏が始まります。曽根さん、中野さん、そして私の3人の前で、さすがの井上さんも緊張気味です。なにせ中野さんはフルート一家、曽根さんは、ゴールウェイやニコレもお友達、フルートは彼らが基準、というすごい方だからです。それでもリクエストに立派に応え、さんざん悩んだ末にお気に入りの頭部管を選べてほっと一息。猛暑の中来たかいがありました。井上さんも満足そうです。私も色々聞けてとても参考になりました。井上さんに、「もう、さんざん脅かして。どうなるかと思ったですよ。」とチクリ。まぁいいじゃないですか。私も10年前と昨年、銀の楽器と今使っている14Kの選定で、同じ目に遭っているんですから。
−はらへったぁ−
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中野重孝さんです。試奏が無事済み、こちらはビールで乾杯です。この方、とても優しく親切なのでお客さんからの信望も厚いのです。新宿の村松に行ったら迷うことなく中野さんのご指名を。何でも相談にのってくれます。「上坂さんのホームページを見た」と言えば良いことがあるかも。無いか。
M.K. |
−快適な気候、そして旺盛な食欲−
6月29日。記録的な猛暑に続いてやってきた台風も予想より早く関東地方を通り過ぎ無事羽田を出発。午後2時、新千歳空港に降り立ちました。7/4に札幌交響楽団演奏による”札幌コンサートホールKitara”のこけら落とし公演のお手伝いにやって来たのです。
気温25度、東京とは10度も気温が違います。くわえて湿度の低いこと。暑がりの私には、まさに天国、別天地です。今日から7/5までの間、この快適な気候のもと過ごせるだけで幸せを感じてしまいます。と同時に不安が頭をかすめるのです・・・・・それは、
です。それは、以前勉強に行ったスイスとドイツで実証済みなのです。あの時は2週間で8Kgも太りました。そして、一度太ると完全には体重が戻らない、という真理を発見した時でもありました。 空港で札響首席フルート奏者をしている親友の森圭吾君と再会です。車マニアの彼の愛車は「ボルボ850エステート」。ターボ仕様240PSの限定車です。ATながらその鋭い加速は気分最高です。一般道で100km/h+α、高速でも100km/h+αという北海道の道路事情。気候同様快適そのもの。空港から約30km離れた森君の自宅まであっという間に着いたのでした。 −さっそく食事− 家に着いたとたん、お腹が減ってきました。考えてみれば、10時半頃羽田で軽く食事をしただけなのでお腹が減るのも当然です。北海道の食べ物といえばカニやお寿司などをすぐ思い浮かべますが、忘れてならないのは”お蕎麦”です。ここ札幌にはとにかく蕎麦やさんが多い。そして盛りがよい。東京などと違い、ちゃんと食事として満足出来るだけの内容。当然ながら旨い。蕎麦好きの私にとって、ここ札幌はよくよく相性の良い土地柄なのです。
”あまりお腹が空いていない”という森君を無理矢理連れ出し近くの蕎麦やさんへ。私は大天ざる、森君は鴨せいろ。結局は食べるらしい。これは、冷たいお蕎麦に暖かい鴨の入ったおつゆで食べるもので、とても美味。2人とも満足したのでした。今夜はすすきのへ繰り出し、おいしいお寿司をたらふく食べよう、という計画も発表され、嬉しくも体重の気になる一週間になりそうだと複雑な気持ちになるのでした。 M.K. |
−さあ、お仕事です−
6月30日練習初日。今回の仕事は札幌交響楽団による”札幌コンサートホールKitara”こけら落とし公演です。このホールは一言でいって素晴らしい。普段の練習は専用の練習場で練習するのだけれど、札響も当然このホールには馴れていないので練習もホールで行われる。役得役得。私がのったのは1曲目に演奏される、R.シュトラウスの「祝典前奏曲」。フルオーケストラにオルガンも入るという華やかで壮大な曲で、あちらこちらから「シュトラウス節」が聞こえてきます。この曲は1913年、ウィーン・コンツェルトハウスのこけら落としのために作曲されました。誰もいない真新しいホールで大音響が鳴り響く様はちょっとした快感です。
この「祝典前奏曲」の様な大音響のする曲では、客席で聴くのとオーケストラの中で聴くのとは大分様子が違います。自分で吹いている音が聞こえないのです。大体この曲はフルートが5本使ってあり(5thフルートはピッコロ)、他のパートにもコントラ・ファゴットとか、オーボエ族で(名前忘れました)蛇使いの笛を大きくしたようなダブルリード楽器(誰かが”ソプラノ・ファゴット”だと言っていた)とか、とにかく編成が大きい。だから一番音の小さいフルートは自分の音さえ聞こえない。それでも5本のフルートがハーモニーを作るようになっていたりして、つくづくオーケストラの難しさを痛感したのでした。
シュトラウスの練習は最初に終わりますから、その後は客席から練習を聴いていました。このホールの特徴は、2008席というサントリー・ホールより座席数も空間も広いのにコンパクトに感じる点です。どの席から聴いても舞台が近く感じるのです。そしてどこで聴いても音がよい。これはとても凄いことなのです。都内の有名ホールもたじたじです。反響板の位置やステージ上の列び位置など試行錯誤しながらの作業は大変ですが、とても勉強になりました。7月3日まで毎日練習を聴き、まるで自分のための演奏会の様なリッチな気分にさせてくれる、とても貴重な体験でした。
ホール運営に携わる方たちも大変です。とにかくしょっちゅうあっちこっち掃除している。ロビーの絨毯なんか人が歩く度に掃除機をかけているとすら思える。トイレなんか使うのをためらってしまうくらいです。まぁ使いましたけどね。ホール付属のレストランも大変。我々オケのメンバーは、本番に向けての練習台といったところです。
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フルートの席で首席奏者の森君と記念撮影。シャッターを切ったのはやはり札響フルート奏者の清水さん。何年振りかにお会いして静かな方だと思っていたら・・・・・・コンピータの話を始めたら突然生き生き。マックでインターネットを楽しんでおられるとのことです。翌日にはこのHPから私の娘の画像を印刷してきてびっくり。仕事がいっそう楽しくなりました。クラリネット奏者の渡部さんもマック使い。今までなかなか話す機会がなかったのに、インターネットのおかげで和気あいあいです。 |
−やっぱり食べる。♪ダぁイエットは明日からぁ♪−
夜はクライス札幌支部長?の秋山さんのお宅におじゃましました。東京赴任中に私のお弟子さんだったのが縁で、それはそれは良くして下さいます。札幌に行けば必ずお招きいただき・・・・・そのご馳走の凄いこと。数年前初めておじゃましたときのこと「何が食べたいですか」と仰るので、図々しくも「烏賊のお刺身」と申したところ「そんな物で良いんですか」と言われびっくり。何でも北海道、とりわけ海沿い育ちの方々は幼少の頃から「ねぇ、お母さん、お腹空いた。何か食べるものない?」「無いよ。そこの烏賊でも食べてなさい!」と、お育ちになったらしい。海沿い出身者を中心に「烏賊を見るのもイヤ」という人が多いそうである。 お腹が”普通の満腹状態”になった頃、いよいよ香港が中国に返還される瞬間である。満腹と疲れ、心地よい気候に寝そうになるのを我慢して秋山さんと一緒にセレモニーを見た。羊が丘展望台の美しい電飾とともに、忘れられない一日となったのでした。 翌朝起きると、すでに秋山さんは元気に(奥様・談)出社なさった後であった。 (続く) M.K. |
−さあ、本番。−
皆様、諸事情により、この訪問記のアップが大幅に遅れましたこと、深くお詫び申し上げます・・・・・
さて7月4日、いよいよ本番です。私は1曲目の”祝典前奏曲”のみですが、札響はこの2日後のオープン記念コンサート、そして定期演奏会とスケジュールが詰まっています。今日のこけら落としのための練習の合間にオープン記念コンサートの練習が入っていたので皆さん疲労困憊のご様子。私はこの素晴らしいオーケストラで仕事が出来、また連日の練習を聞いては勉強になり、おまけに連日のグルメで精神的にも体力的にも絶好調、失礼ながら対岸の火事であります(札響の皆さんゴメンナサイ!)。
本日のこけら落としのチケット、10分で完売とのこと、まさにプラチナチケットです。心やさしい首席オーボエ奏者の岩崎さんは、「なんで自分が出演する演奏会のためにこんな事しなくてはいけないんだ?」という素朴な疑問を脳裏から払いつつ、チケット発売初日の朝開店前のプレイガイドの店頭に並び、開店と同時にカウンターにダッシュ、「札響こけら落としコンサートのS券15枚!」と叫び、チケットがプリントアウトした時点で完売だったそうです。お疲れさまでした。お陰様でクライス札幌支部長の秋山さんのご家族も演奏会にこれました。
こけら落としコンサートに先立ち落成記念式典が催されました。札幌市長を始め来賓の挨拶があり、オルガンの演奏の後、ベートーヴェンの第9から4楽章の演奏です。ソリストは木村俊光さん、五郎部俊朗さん、西明美さん、針生美智子さんと、どなたも札幌出身の方ばかりです。フルートの工藤重典さんも札幌出身です。
式典は午後3時からで大いに盛り上がりましたが、午後7時から始まったこけら落としコンサートは異様とも言える熱気が会場に充満しています。なにせたった10分のチャンスでしたから。そういう会場の雰囲気は舞台の上で手に取るように感じられるのです。1曲目の祝典序曲は壮大なオルガン・ソロで始まりますので1曲目からブラボーの嵐です。ええ、気持ちいいなんてもんじゃありません、ホントの話。演奏会はその熱気と盛り上がりの中、無事終演を迎え、打ち上げ会場へと急ぐのでした。
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−打ち上げ楽し−
左から、首席フルート奏者の森君、私、指揮者の秋山さんです。 百戦錬磨の札響のメンバーだって”こけら落とし”ともなれば普段とは違う緊張感があったのではないでしょうか。今後札響のホームグラウンドとなるホールならなおさらです。和やかでスピーディな宴の始まりです。あまり”出来上がって”しまう前に記念撮影。指揮者の秋山さんはとても温厚で恐くない。写真にも気軽に応じて下さいました。後ろのテーブルでは、非日常的食物を大量且早食で摂取のうえ上下関係無それは非情な争奪戦の真っ最中です。私も加わったのは言うまでもありません。 |
左より、私、フルートの工藤さん、指揮の秋山さん、森君、札響ヴァイオリン奏者の石原さんです。
温厚で物静かな指揮の秋山さんもご覧の通り。打ち上げの楽しさが伝わりますか? (札幌訪問記終わり)M.K. |
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記録 後記 |
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